2.2. β相・γ相の結晶構造

Li・Ando らの 表II の結晶構造比較に、 本計算のCHGNetとOpenMX/PBEの格子定数を並べる。β相は16原子・2式量、 γ相は32原子・4式量の単位胞であり、体積は式量当たりに換算した。 本ページは構造量だけを比較し、全エネルギーや相安定性は評価しない。

文献表IIと本計算の格子定数
相出典・手法a (Å)b (Å)c (Å)体積 (ų/式量)
β相文献NNP4.9145.2876.16480.07
文献DFT-PBE4.9235.2986.17780.55
実験4.8565.2406.11577.80
本計算CHGNet4.94395.30086.151780.61
本計算OpenMX/PBE4.94505.31686.225181.83
γ相文献NNP5.0036.10810.50280.23
文献DFT-PBE5.0016.17710.61581.98
実験4.9276.12010.49079.08
本計算CHGNet4.99596.182010.624682.03
本計算OpenMX/PBE5.04296.226010.668083.74

格子定数・体積の実験値からの相対差は \(100(x_{\mathrm{calc}}/x_{\mathrm{exp}}-1)\)、 平均格子誤差は三軸の相対差の絶対値の平均である。

実験値に対する構造量の誤差
相出典・手法Δa (%)Δb (%)Δc (%)ΔV (%)平均 (%)
β相文献NNP+1.19+0.90+0.80+2.920.96
文献DFT-PBE+1.38+1.11+1.01+3.541.17
本計算CHGNet+1.81+1.16+0.60+3.611.19
本計算OpenMX/PBE+1.83+1.47+1.80+5.191.70
γ相文献NNP+1.54−0.20+0.11+1.460.62
文献DFT-PBE+1.50+0.93+1.19+3.671.21
本計算CHGNet+1.40+1.01+1.28+3.741.23
本計算OpenMX/PBE+2.35+1.73+1.70+5.891.93

本表で比較できる本計算uMLIPはCHGNetであり、UMA・SevenNetの 格子定数は未掲載である。実験値を基準にした平均格子誤差は、 β相・γ相で本計算CHGNetが 1.19%・1.23%、文献NNPが0.96%・0.62%である。本計算のほうが それぞれ0.23・0.61ポイント大きい。体積誤差も本計算CHGNetの +3.61%・+3.74%に対し、文献NNPは+2.92%・+1.46%である。 この2相の構造量では文献NNPのほうが実験値に近いが、 異なるモデルと最適化条件を含む比較であり、一般的な精度順位は示さない。

CHGNetの式量当たり体積は両相とも文献DFTとの差が約+0.07%である。 本計算OpenMX/PBEは文献DFTよりβ相で約+1.59%、γ相で約+2.15%大きく、 実験との差もCHGNetより大きい。この比較は提示された格子定数に基づく。 OpenMXの最終構造と最適化条件は、公開用の確定値とする前に確認が必要である。

2.2.1. まとめ

本計算CHGNetの平均格子誤差はβ相・γ相で1.19%・1.23%であり、 両相の構造を概ね再現するが、実験値への近さは文献NNPに及ばない。 この構造量の比較から、相安定性や拡散特性の精度までは判断できない。