2.9. MD軌跡の部分RDF
図 2.7 本計算:800–1500 KのLi–O、P–O、O–O部分RDF。
P–Oの鋭い第一ピークは約1.5 Å付近に保たれ、温度上昇で高さは下がっても PO4 の短距離結合は残る。Li–Oの約1.9 Åの第一ピークは 高温ほど低く広くなり、Li周囲の分布が拡がる。O–Oの第一・第二ピークも 高温で弱まり、局所配置の熱的な広がりを示す。
文献図9 は文献NNP-MDとDFT-MDの 全RDF が近いことを示す。本図は原子対ごとの**部分RDF** であり、 同じ量の曲線を重ねた精度比較ではない。各ピークの高さを異なる原子対の間で 直接比較することも避ける。
本計算ではP–Oの第一殻が ほぼ同じ位置に残る一方、Li–Oの第一殻は温度とともに広がる。 これは比較的保たれたリン酸基の周囲でLiの配置が変わるという MSDの傾向と矛盾しない。ただしRDFは同時刻の原子対距離の分布であり、 個々のLiホップ経路やPO₄四面体の寿命を示さない。本計算のDFT-MDによる 同条件のRDFがないため、論文と同じ精度検証までは行えない。
2.9.1. まとめ
P–Oの短距離結合は高温でも保たれ、Li–Oの分布は広がる。 この部分RDFは局所構造の温度変化を示すが、文献の全RDFとの直接的な 精度比較や個々のLi拡散経路の決定には使えない。