2.4. Li空孔形成エネルギー
図 2.2 本計算:12個のLiサイトに対する空孔形成エネルギー。
本計算のOpenMX値を基準にすると、図中に示された12サイトの平均絶対差は CHGNetで1.512 eV、SevenNetで0.706 eV、UMAで0.598 eVである。 各手法はサイトごとの変動をある程度追う一方、いずれもOpenMXより低い値を示し、 特にCHGNetの差が大きい。これは本構造・本設定での差であり、 空孔形成エネルギーの一般的なモデル性能を示すものではない。
文献図4 では同じ12サイトという設定で 文献NNPと文献DFTの平均差が0.029 eVであった。ただし、空孔形成エネルギーは Li化学ポテンシャルと緩和条件にも依存する。両研究の構造・参照条件が同一とは 確認できないため、0.029 eVと本計算の平均差を同一条件の精度順位としては扱わない。
論文では文献NNPが文献DFTの形成エネルギーを系統的に低く見積もり、 最大差も0.040 eVに収まった。一方、本計算の三手法のずれは 0.598–1.512 eVで、同じ方向の偏りでも規模は大きい。 図の5番サイトはOpenMXで最も高い形成エネルギーを示すが、 CHGNetはこの特徴を再現していない。共通のエネルギー基準による 一様なずれと、サイト間の相対的な順位・差の誤りは分けて調べる必要がある。 論文の約5 eVという絶対値と本計算の約3–4 eVのOpenMX値も、 Li化学ポテンシャルと構造・緩和条件をそろえずに直接比較しない。 形成エネルギーだけから実際の空孔濃度や移動障壁は決まらない。
2.4.1. まとめ
三つのuMLIPはいずれも本計算のOpenMX値より低い形成エネルギーを与え、 12サイトの平均絶対差は0.598–1.512 eVであった。 文献NNPの誤差との精度比較には、構造とLi化学ポテンシャルをそろえる必要がある。